特別展「縄文ー1万年の美の鼓動」のブログのつづきです。
過去には「旧石器ねつ造事件」という、古代史学会を震撼させる大事件もありました(大汗)
「そもそも旧石器なんて、よくぞ見つけられるよね。たくさんある石とそんなに見分けがつくのかしら?」
なんて、遠い世界にある旧石器、と思っていました。
……ところが、その後、長野県南箕輪村の神子柴遺跡から出土した旧石器(前16,000~11,000)を目にして感動しました!
木の葉型で、少し磨きが入っています。
美しいのです!まさしく「美の鼓動」は、すでにこの時期に始まっていました。
モノづくりの原点は1万年以上前から
長野県八ヶ岳産の黒曜石の石器を見ても、ストレートに美しさに打たれます。
神子柴遺跡から出土した石器群は、尖頭器18点、局部磨製石斧9点をふくむ87点もありました。
長野県和田峠の黒曜石ばかりでなく、新潟県・岐阜県の彩り美しい石も入っています。
交流の広さにも驚かされます。
しかも周辺に集落跡でない土中からの出土という状況は、いまだに謎めいてロマンをかきたてます。
打製石器を製作するには、一つの石器の分割が数百回におよぶこともあるそうです。
しかも黒曜石は、一定方向に割れやすく、相当な技量と根気が必要です。
すぐ隣に展示された秋田県東瀬町村の上掵(うわはば)遺跡の磨製石斧は、縄文前期(前4,000~3,000)の石斧4本、長いもので60㎝もある刀のような石斧です。
北海道の日高地方を流れる沙流(さる)川支流の額平(ぬかひら)川上流で採取される「アオトラ石」とよばれる緑色岩です。
薄緑に茶色の縞模様がにじむようにはいっています。
縄文時代の石斧の中で、ケタ外れの大きさと優美さを兼ね備えています。
石斧
(秋田県立博物館にて)
ひとまとめに埋納されていたことからも、特別の日の祭祀や儀式用とされています。
神子柴の石器にみられるように、モノづくり日本人の原点は、はるか1万年以上も前にあって、連綿と継承されてきたのです(大拍手)