稲荷山鉄剣に「オオヒコ」の文字!戦後古代史学界に大きなショック

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こんにちは!yurinです。

大彦命(おおびこ、おおひこのみこと)が、注目視された当時の衝撃はハッキリ覚えています。

あらためて年月日を調べてみると、1978年9月19日、埼玉県教育委員会から、古代史界だけでなく、日本全域に走り抜ける衝撃の発表がなされたのです。

 

確か「古事記の戦慄(せんりつ)」などという大見出しで、夕刊新聞紙面のトップに大きく掲げられた、その時のショックを今もよく覚えています。

 

埼玉県行田市にあるさきたま古墳群にある、稲荷山古墳出土の鉄剣の銘文が、大彦(四道将軍)の派遣を実証したのです。

埼玉県さきたま古墳群の稲荷山古墳の鉄剣

すでに出土していた鉄剣であったのですが、X線撮影により、刀身に刻まれた金象嵌(ぞうがん)の115文字を読み解くことに成功


古代史Cafe会メンバーの方にいただいたクリアファイル

その華々しい発表が行われ、その文中に「意富比垝(おおひこ)」が、登場したのです(拍手)!

 

(銘文の表おもて)

辛亥(の)年七月中(に)記す

乎獲居(おわけの)臣(おみ) 上祖(かみつおや)(の)名(は)意富比垝(おおひこ)

其(その)児(この)名(は)多加利足尼(たかりのすくね)
其(その)児(この)名(は)互已加利獲居(てよかりわけ)

其(その)児(この)名(は)多加波次獲居(たかはしわけ)
其(その)児(この)名(は)多沙鬼獲居(たさきわけ)
其(その)児(この)名(は)半弖比(はてひ)

 

(銘文の裏)

其(その)児(この)名(は)加差波余(かさはよ)
其(その)児(この)名(は)乎獲居臣(おわけのおみ)

世々、杖刀人(じょうとうじんの)首(おびととと)為(なり)、奉事(し)来(り)今(に)至(る)

 

獲加多支鹵大王(わかたけるおおきみの)寺(時)、斯鬼(しきの)宮(に)在(ある)時、吾(は)天下(を)左治(し)、此(この)百錬(ひやくれんの)利刀(りとうを)作(ら)令(しめ)、吾(が)奉事(の)根源(を)記(す)也(なり)

古代史学界の屋台骨をゆるがす!

鉄剣の銘文は語っています。

オオヒコの子孫のオワケノオミの一族は、先祖代々、杖や刀を製作管理する、職業集団のリーダーとなってお仕えし、今日にいたっております。

さらに

第21代雄略天皇のワカタケル大王(おおきみ)が、磯城の宮に居られる時、私は天下のまつりごとをお助けしました。
何度も鍛え丹精こめて製作した刀を造らせて、我が家の輝かしい由緒を記した次第です。

と。

 

銘文を素直に解釈すれば、オワケノオミは、「自分の先祖は、あの有名な四道将軍の大彦命(おおひこのみこと)だぞ!」と、誇らしく主張しているのです。

この稲荷山鉄剣の銘文は、

『古事記』『日本書紀』に記される日本神話や、初期天皇の時代の物語は、大和朝廷の政治的権力を正当化するために創作されたものである

とする第二次大戦後の古代史学界に大きなショックを与えるものだったのです。

古代史カフェ会で話題のオオヒコ

その大彦の命ですが、古代史カフェ会では、人気者でした!

上代古典の文学史で『高橋氏文』を取り上げて、

四道将軍の大彦命の子孫の高橋氏が書いたものです

と紹介すると、即座に「それで稲荷山古墳の鉄剣の銘文『タカハシワケ』がでてくるんですね!」

と、埼玉県行田市から来てくださるメンバーの方から声があがりました。

さすが地元の方ならではの、鉄剣の銘文の1文字も見落とさず、核心をつく発言です!

 

その翌週に、稲荷山古墳の鉄剣にちなんだお土産のお菓子をいただき、その行田にお住まいの方からのものと思いきや、なんと!さっそくに稲荷山古墳へ足を運んだ別のメンバーの方からのものだったのです(すごっ!)

オオヒコのスイーツなんて、格別のスパイス入りのよう。

「美味でございます~~」なんて、お菓子をその場で、パクッと食べてしまい……フォトは外袋だけで、すみません(大汗)。

実は、大彦命については、長野県千曲市稲荷山の、なんと夫の実家近くに、大彦命の墓とされる古墳がありまして、長年、あれこれオオヒコと奮闘してきたので(大汗)、ここに来て古代史カフェ会で、大彦命を語り合えて、なんともうれしく思えたのです。

 

先に書いた、新潟県の方々の大彦命への思いも合わせると、ひょっとして、オオヒコは古代史ファンのひそかな人気者なのかもしれませんね!

つづく

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