明けましておめでとうございます。
yurinです。
昨年は拙ブログにお越し下さりありがとうございました。
古代史日和のもろもろの活動にご参加下さいましたことお礼申し上げます。
2019年ラストの勉強会へもたくさんのご参加をいただき、活発な意見交換ができまして感謝しております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
目次
岩戸開きゆかりの2つの神社
令和の御代になり初めての新年で、まさしく天の岩戸が開かれました!
岩戸開きの神々ゆかりの、長野市戸隠神社、宮崎県高千穂町の高千穂神社をご紹介して新年のご挨拶とさせていただきます。
どちらも神楽で有名です。
このブログでは戸隠神社を。

戸隠神社中社

高千穂神社
「知」「体」「技」を得意とする平和的で心を豊かにする神々が戸隠山や高千穂の大自然とともにお祭りされています。
自然とともにささやかな暮らしを営む人々の姿も似ています。
水内(みのち)の神が戸隠神社?
戸隠神社については『古事記』『日本書紀』には明確に名称が出てきません。
ですが、第41代持統天皇の5年「信濃の須波(諏訪)、水内(みのち)の神々を祭らせた」とあり、このうちの「水内(みのち)の神」が戸隠神社ではないかという説があります。

戸隠神社中社
この年は長雨が続き、大和の広瀬の神や龍田の風の神をお祭りしていて、特に風水の霊験あらたかな神々を朝廷で勅使を派遣してまつらせたものとみられます。
『日本書記』の「水内(みのち)」の神については、長野市善光寺の背後の城山にある建御名方富命彦神別(たけみなかたとみのみことひこかみわけ)神社ほか、同じ神を祭る長野市信州新町、飯山市豊田のそれぞれの神社に比定する説があります。
いずれも旧水内(みのち)郡です。

建御名方富命彦神別(たけみなかたとみのみことひこかみわけ)神社 (信州新町)

神社の杉並木
一方で長野市戸隠神社も旧水内(みのち)郡にあり、有力視されているのです。
それは地主神とされる九頭龍社が、水流を司る九頭龍水神として太古から信仰されてきたからです。
天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)を祭る奥社、天思兼命(あめのおもいかねのみこと)を祭る中社、天鈿女命(あめのうずめのみこと)をお祭りする日(火)御子(ひのみこ)社、天表春命(あめのうわはるのみこと)をお祭りする宝光社などがあります。
- 奥社:天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)
- 中社:天思兼命(あめのおもいかねのみこと)
- 日(火)御子(ひのみこ)社:天鈿女命(あめのうずめのみこと)
- 宝光社:天表春命(あめのうわはるのみこと)

奥社と戸隠山

奥社付近の滝

日(火)御子(ひのみこ)社:天鈿女命(あめのうずめのみこと)

宝光社:天表春命(あめのうわはるのみこと)
信濃の古社の中で、北アルプスの主峰穂高岳を祭る安曇野市の穂高神社は、奥社は奥穂高岳を仰ぐ、上高地の明神池のほとりにあります。
水内神の里宮は善光寺平に、奥社は戸隠山にあったのではないでしょうか?
戸隠神社に特別な笏(しゃく)
戸隠神社は早くから神仏習合によって「戸隠寺顕光寺」として、比叡山・高野山と並んで「三千坊三山」と称されるほど、全国の修験者や参拝者を集めてきました。
『延喜式』「神名帳」に神社としての記載が漏れているのも、寺院としての歴史が早く有名であったためとみられるのです。
一方それに先んじて、持統天皇の時代に奉納されたとする特別な「象牙の笏(しゃく)」があることも注目すべき事実です。
奈良正倉院の通天笏(つうてんしゃく)(宝物殿に展示)と同じものです。

正倉院宝物殿
笏は貴族が昇殿の際、正装で手に持つものですが、その笏の中でも特別な「笏(しゃく)」が戸隠神社に奉納されていることからも「水内(みのち)の神」としての重要性が認識されます。
奥社の九頭龍神はそそり立つ戸隠山を「龍」に見立てて、水分(みくまり)の神として仰がれ人々の信仰を集めて来ました。

九頭龍神社
「水内郡」の郡域には戸隠山、飯綱山、黒姫山など太古から人々の信仰を集めた霊山が連なり、戸隠神社はまさしくその霊山に囲まれた神域に位置します。
北アルプスから流れ出す犀川の背後にこれらの神々を仰ぐと、現代の私たちにもまさしく九頭龍神のすまう神域として心に響いてきます(拝)

鏡池から戸隠山

姨捨パーキングからの善光寺平(川中島) 戸隠山〜飯綱山〜千曲川〜黒姫山
つづく