こんにちは!しむちゃんナウです。
縄文時代の土偶一族の時期別、地域別の広がりをお話しします。
草創期 | 早期 | 前期 | 中期 | 後期 | 晩期 |
テディベア土偶が知っている一族の写真をピックアップしたので、土偶の歴史の全体を示すことができなくて漏れている一族もあると思います。
また、写真の数が実際の土偶一族の数と比例していないことをご容赦ください。
縄文時代の後期の全体像を捉えるような感じで見ていただき、土偶一族の多様さ・地域別の違いや広がり・時期別の違いなどを理解していただきたいと思います。
これから紹介する一覧表には入れることができなかった素晴らしい土偶がたくさんあります。
テディベア土偶も観賞に行きたいと思いますので、ご存知の方はどんどん情報を古代史日和に寄せていただければうれしいです。
- 古代史日和のTwitterのDM
- メール(kodaishi.biyori@gmail.com)
いただいた情報をもとに、土偶一族の一覧表をもっと充実させたいと思っています。
目次
縄文後期の土偶の特徴
縄文後期のブログのおさらいをしていきます。
縄文後期のブログ↓↓
縄文時代の後期、地域別に土偶一族をまとめるとこのような感じです。
- 時期:後期
- 地域:北海道・北東北、南東北、関東、中部高地、北陸、東海、西日本
<時期別地域別土偶一族繁栄図>
縄文時代中期末に土偶消滅の危機を乗り越えて、土偶一族は再び繁栄に向かいます。
土偶は地域別にいろいろな型式があり、お互いに影響し合います。
後期土偶の大きな特徴は、
- 西日本に土偶が伝播していくこと
- 中空土偶が増えること
- 屈折像形の土偶が出てくること
- 表現が抽象的になり、仮面土偶、ハート形土偶、山形土偶、ミミズク土偶などの一定の形式が広く分布すること
などだと思います。
土偶から見る縄文の人々の交流
超遠距離の親戚がいます。交流の証しですネ!!
1.北海道の土偶と東京の土偶
①北海道(函館)と東京、約860km離れていますが、姉妹?のような土偶が出土しています。
「かっくう」と「まっくう」です。
■北海道函館市 茅空(かっくう)
北海道:著保内野(ちょぼないの)遺跡 函館市縄文文化交流センター蔵 |
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■東京都町田市 まっくう
東京:田端東遺跡 町田市教育委員会蔵 |
ここで、縄文キャラクターも紹介。
「茅空(かっくう)」と「まっくう」の頭部を比べてください。
眉、鼻、目、耳、口は粘土を張り付け、顔や後頭部に微隆起線で模様をつけているところもソックリです!!
「まっくう」の頭頂部の煙突のようなのは髪型(髷 まげ)と思われます。「茅空(かっくう)」にもあったのでしょう。
テディベア土偶は、2つの髷(まげ)のような突起と目や口の粘土紐に細かな刻みが付いているところなどが似た感じの土偶に会ったことがあります。
■砂沢遺跡出土 弥生前期の土偶
青森県平川市郷土資料館
2.福島県の土偶と島根県の土偶
超遠距離と言えばこちらもスゴイです。
②福島県⇒島根県の旅は高速道路で測って約1,050km!!
■福島県福島市 しゃがむ土偶
福島:上岡遺跡 福島市蔵 |
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■島根県飯石郡 土偶
島根:下山遺跡 島根県教育庁埋蔵文化財調査センター蔵 |
2つの土偶が寄り添って写されるとこうなります!
島根:下山遺跡 島根県教育庁埋蔵文化財調査センター蔵
この2つの土偶は同じ形のしゃがむ土偶(屈折像土偶)です。
下山遺跡付近の粘土と土偶の胎土が異なることから、福島県からはるかに島根県までもたらされたとされる、東西交流の貴重な証拠です。
実は、国立歴史民俗博物館の「時期別土偶出土数データの集成(第一版)1992年」では島根県の土偶出土数はゼロですが、その後に発掘された下山遺跡からの2点を含め12点もの土偶が出土しています。(2002年3月時点)
ところで、またちょっと横道にそれますが、中国地方5県の土偶出土数は国立歴史民俗博物館出土数データの集成(1992年)よりも多いことがわかります。
1992年から約30年も経過しているので、できるだけ早くup to dateな集成を出していただければうれしいです。
県名 | 国立歴史民俗博物館(1992年) | 志津見ダム建設発掘調査(2002年3月)※ | 増加 |
鳥取県 | 1 | 3 | 2 |
島根県 | 0 | 12 | 12 |
岡山県 | 6 | 9 | 3 |
広島県 | 2 | 2 | – |
山口県 | 3 | 4 | 1 |
中国地方計 | 12 | 30 | 18 |
※正式名称:志津見ダム建設予定地内埋蔵文化財発掘調査報告書12
山陰地方に日本各地の土器
縄文時代の山陰地方は、東日本各文化圏(東北・関東・北陸・東海)との交流により各地の土器類が入ってきています。
この先はものすごい想像ですが。
縄文後期の東日本の各地には環状列石があり、その地域のムラムラから人々が環状列石に集まり、自然の恵みに感謝し脅威を畏れるとともに、系譜的観点を重視する祖霊祭祀(山田康弘先生「縄文時代の歴史」)をしていました。
土器類と一緒にそうした祭祀も東日本から山陰地方にもたらされたのでしょう。土偶も増えます。
受け入れた山陰地方島根県には「出雲大社」があります。
現在でも日本中の神々が年に一回神在月に出雲大社に集まるのは、土器類とともにもたらされた各地の祭祀の記憶・伝承が一体となって伝わったものではないでしょうか。
縄文時代の血縁関係や遺伝関係が重要視される祖霊祭祀は、水田稲作という素晴らしい技術の導入による生業主軸の転換・社会の変化と共存し、日本人の独特な精神構造の柱として脈々と現代まで生き続けていると思います。
後期その3は次のブログに続きます。
縄文時代や土偶の本を厳選した縄文ライブラリーはこちらから。
写真掲載*Special Thanks
第6話で写真掲載をお許しいただいた皆様です。ありがとうございます。
<所蔵画像を提供していただいた皆様>
時期 | 都道府県 | 遺跡名 | 所蔵先 |
後期 | 北海道 | 著保内野 | 函館市縄文文化交流センター蔵 |
後期 | 東京都 | 田端東 | 町田市教育委員会蔵 |
弥生前期 | 青森県 | 砂沢 | 平川市教育委員会蔵 |
「時期別地域別土偶一族繁栄図」は最初に紹介したこちらのブログに、既出の土偶は最初に紹介したブログに記載しております。
所蔵先様から本ホームページに限り掲載許可をいただいていますので、転載は硬くお断り申し上げます。