こんにちは!yurinです。
民族学者の谷川健一氏は、九州から「小野族」を追って、信州まで到達して、奇しくも小野神社までたどりついたそうです。
小野神社についてはこちらも合わせて読んでみてくださいね。
その谷川氏の『青銅の神の足跡』には、琵琶湖の大津市に本貫地をもち、青銅とかかわる小野氏族のことが書かれています。
さらに小野氏族について、私が付け加えたいのは、饒速日尊(にぎはやひのみこと)とともに降臨した32の神々とのかかわりです。
高皇産霊尊の系譜と「小野」
小野といえば、福岡県嘉麻(かま)市の高木神社は「小野谷」にあります。
高木神社は、高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)お祭りする神社の総本社とされています。
高皇産霊尊の御子が、思兼命(おもいかねのみこと)です。
高天原の知恵袋として、天照大神が岩戸にこもってからは、実質的に采配をふるう神です。
その思兼命(おもいかねのみこと)の磐座(いわくら)が、この阿智神社のある伊那谷の南にあるのです。
式内社阿智神社の奥宮になっています。
そして、思兼命の子、天上春命(あまのうわはるのみこと)・天下春命(あまのしたはるのみこと)は、饒速日命(にぎはやひのみこと)とともに降臨した32神です。
ここで系譜を整理すると、
高皇産霊尊 ー 思兼命 ー 天上春命・天下春命
となります。
『先代旧事本紀』「国造本紀」によれば、天上春命(あまのうわはるのみこと)は、関東北西部、「知知夫(ちちぶ、秩父)の国造」に委任されたとあります。
秩父市秩父神社では、天上春命(あまのうわはるのみこと)の父の思兼命(おもいかねのみこと)を祭ります。
さらに武蔵の国一の宮に、天上春命(あまのうわはるのみこと)を祭る「小野神社」があります。
洩矢の神に鉄を伝えたのは?
饒速日尊(にぎはやひのみこと)と降臨した勢力は、さらに東方へ進出しています。
ひょっとしたら長野県の諏訪の地、守矢氏の先祖の洩矢(もれや)の神に「鉄」を伝えたのは、饒速日尊だったのでしょうか。
愛知県・静岡県方面から天竜川添いに伊那谷を北上し、塩尻の銅鐸にもたどり着きます(拍手)
川崎日香浬氏『お諏訪さま物語』より
・・・当初、諏訪に鉄鐸をもたらしたのは、日本海方面からの建御名方命(たけみなかたのみこと)のように考えていました。
……ですが伝承では、建御名方命は「藤の枝」で、洩矢の神の方が「鉄輪」をもっていたとされるのです!
左:建御名方命と藤の枝 右:洩矢の神と鉄輪
川崎日香浬氏『お諏訪さま物語』より
ということは、建御名方命が諏訪に入ったときには、すでに鉄を持った洩矢の神がいたことになります。
鉄鐸は、鉄の薄い板をクルリと丸めて閉じた形になっています。
「鉄輪」とも言えるようです。薄い板を作るのは、かなり高度な技術力です。
考えてみますと、饒速日尊の故郷とみられる嘉麻(かま)市は、その名の通り「鎌(かま)」にゆかりのある土地です。
饒速日尊の子孫の物部氏には、金属の中でも鉄との関わりを示す「鎌」や「斧」などが人名に入っているほどです。
すると、諏訪大社の神宝の「薙鎌」や「鉄鐸」は、饒速日尊とともに降臨した人々が伝えた鉄の技術によって、神宝になったことも考えられます。
その鉄鐸・薙鎌を、神宝としてお祭りする諏訪大社の神長官家の血筋に、物部守屋の血筋が入っているとは、なんとも歴史が織り成す1本の糸の不思議を感じてしまいます……
諏訪大社の上社の本宮と前宮の間にあって、諏訪信仰の中心地に立ち続ける神長官守矢氏。
そして饒速日尊・宇摩志麻治命を祖とする物部氏が織り成す歴史の経糸・横糸に気づき、身動きできなくなってしまいそうです。
■このブログで紹介した『お諏訪さま物語』について
絵本ですが、親子で2倍3倍楽しめます!
大国主命と奴奈川姫(
川崎日香浬氏『お諏訪さま物語』
下記の場所で購入できます。
<長野県>
SUWAガラスの里 http://www.garasunosato.com/
<新潟県>
道の駅うみてらす名立 http://www.umiterasu.co.jp/