こんにちは!しむちゃんナウです。
土偶一族の時期別、地域別の広がりをお話しします。
全体的な土偶出土数や出土の多い県など縄文時代全体、日本全体のことを知りたい方はこちらを読んでくださいね。
草創期 | 早期 | 前期 | 中期 | 後期 | 晩期 |
テディベア土偶が知っている一族の写真をピックアップしたので、土偶の歴史の全体を示すことができなくて漏れている一族もあるし、写真の数が実際の土偶一族の数と比例していないことをご容赦ください。
全体像を捉えるような感じで見ていただき、土偶一族の多様さ・地域別の違いや広がり・時期別の違いなどを理解していただきたいと思います。
一覧表には入れることができなかった素晴らしい土偶がたくさんあります。
テディベア土偶も観賞に行きたいと思いますので、ご存知の方はどんどん情報を古代史日和に寄せていただければうれしいです。
- 古代史日和のTwitterのDM
- メール(kodaishi.biyori@gmail.com)
そうして、土偶一族の一覧表をもっと充実させたいと思っています。
目次
草創期~早期~前期の土偶
縄文時代の時期別、地域別に土偶一族をまとめるとこのような感じです。
- 時期:草創期~早期~前期
- 地域:北海道・北東北、南東北、関東、中部高地、北陸、東海、西日本
<時期別地域別土偶一族繁栄図>
「草創期~早期~前期」はおよそ11,000年間と縄文時代全体の約80%ですが、国立歴史民俗博物館の『時期別土偶出土数データの集成(第一版)1992年』によると、「草創期~早期~前期」の土偶の数は184体で全体(10,683体)の約2%でしかありません。
土偶を祈りの対象として広く使っていたのではないようです。
土偶は2パターンに分けられる
主な土偶しか上げられませんでしたが、大きく2つのパターンがありそうです。
一つはふくよかな女性の上半身を思わせる「豊満なトルソー土偶」、もう一つは「板状で顔に目口鼻と思える孔が開いている土偶」です。
豊満なトルソーの土偶 (滋賀県教育委員会・埋蔵文化財センター蔵) |
板状土偶(ばんじょうどぐう) 山梨:釈迦堂(しゃかどう)遺跡(釈迦堂遺跡博物館蔵) |
早期~前期は全国的に分布
最古の草創期の土偶が2つとも近畿地方(西日本)出土であり、早期~前期には青森県から鹿児島県まで全国的に土偶が分布しています。
しかも似ている土偶が各地にあります。
このことはご先祖さんたちの「広範囲、かつ頻繁な移動が想定」(安斎正人先生、『縄紋時代史(中)』)されます。
中でも、近畿地方周辺と関東地方東部の2地域は出土数も多く表現性が確立していて、原田昌幸先生は、土偶の多元説(二元説)を主張されます。
中期の土偶より特徴的な土偶
次の4つは、中期の土偶よりも自然な肉体の表現を感じます。
三重:粥見井尻(かゆみいじり)遺跡(三重県埋蔵文化財センター蔵) | |
滋賀:相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡(滋賀県教育委員会・埋蔵文化財センター蔵) | |
千葉:小室上台(こむろうえだい)遺跡(船橋市飛ノ台史跡公園博物館蔵) | |
千葉:中鹿子(なかかのこ)第2遺跡(千葉市教育委員会・埋蔵文化財センター蔵) |
このブログのまとめ
今回は、縄文時代の草創期~早期~前期の土偶についてお伝えしました。
- 草創期~早期~前期の土偶の出土数は全体の約2%しかない
- 早期~前期は全国的に分布している
- 大きく分けると土偶は2パターンある
- 土偶のほとんどに顔の表現がない
草創期~早期~前期の土偶は、ほとんど顔の表現がなかったですが、中期以降はどのように変化していくのでしょうか。
次回は中期の土偶を紹介します。
土偶や縄文時代についてもっと知りたい方は、厳選した本を紹介している縄文ライブラリーをご覧ください。
写真掲載*Special Thanks
第3話で写真掲載をお許しいただいた皆様です。ありがとうございます。
<筆者撮影写真の掲載を許可いただきました>
時期 | 都道府県 | 遺跡名 | 所蔵先 |
早期 | 青森県 | 狐森 | 八戸市南郷歴史民俗博物館 |
早期 | 千葉県 | 小室上台 | 船橋市飛ノ台史跡公園博物館 |
早期 | 鹿児島県 | 上野原 | 上野原縄文の森 |
前期 | 山梨県 | 釈迦堂 | 釈迦堂遺跡博物館 |
<所蔵画像を提供していただいた皆様>
時期 | 都道府県 | 遺跡名 | 所蔵先 |
草創期 | 三重県 | 粥見井尻 | 三重県埋蔵文化財センター |
草創期 | 滋賀県 | 相谷熊原 | 滋賀県教育委員会・埋蔵文化財センター |
早期 | 千葉県 | 中鹿子第2 | 千葉市教育委員会・埋蔵文化財センター |
早期 | 三重県 | 大鼻 | 三重県埋蔵文化財センター |
早期 | 大阪府 | 神並 | 東大阪市教育委員会 |
<撮影写真の転載をお許しいただきました>
- 出版社:株式会社ぎょうせい
- 書籍名:「日本の美術」No.526 土偶とその周辺Ⅰ
番号 | 時期 | 都道府県 | 遺跡名 | 所蔵先 |
第9図 | 前期 | 宮城県 | 糠塚 | 東北歴史博物館 |
第47図 | 前期 | 埼玉県 | 松木 | さいたま市教育委員会 |
第17図 | 中期 | 宮城県 | 中ノ内A | 東北歴史博物館 |
第101図 | 中期 | 新潟県 | ツベタ | 阿賀野市教育委員会 |