こんにちは!しむちゃんナウです。
今回は時期別、地域別に土偶の出土数の違いを見ていきます。
縄文・土偶初心者の方に楽しんでいただけるように、難しくならないようにお伝えしていますので、最後まで読んでくださいね。
今回もテディベア土偶とご一緒に縄文ワールドへ!
目次
土偶はどの時期が多いの?縄文時代の時期別の出土数
国立歴史民俗博物館の「時期別土偶出土数データの集成(第一版)1992年」 <注> |
- 時期:縄文前期、中期、後期、晩期
- 地域:東北、関東、中部、西日本
棒グラフにするとこのような感じです。
<全国 土偶出土数>
*国立歴史民俗博物館の「時期別土偶出土数データの集成(第一版)1992年」をもとにグラフを作成
東北
東北(北海道含む)は、早期~晩期を通じて増加し、特に晩期は他地域を圧倒します。
(亀ヶ岡文化の繁栄、しゃこちゃんの活躍)
中部
中部高地は中期に盛行しますが、後期・晩期はかなり減少します。
中期末葉に気候が急激に寒冷化しました。
中部高地では遺跡数・住居数が寒冷化の直前にピークになり、寒冷化の進展とともに減少して、後期に一旦回復しましたが、ピーク時をはるかに下回りました。
どのようにこの危機を乗り越えたのでしょうか?探求したいですね!
関東
関東は後期に盛行し、晩期も後期の半減くらいで土偶一族は住み続けます。
西日本
西日本は全体的に少ないですが、後期、晩期と徐々に増加します。
土偶一族の東日本からの移住も考えられます。
土偶の出土が多いのはどの地域?県別トップ10
続いて、地域別に縄文土偶の出土数をまとめたデータをトップ10形式にしました。
<土偶出土県 トップ10>
※赤い数字はトップ3
No. | 県名 | 早期 | 前期 | 中期 | 後期 | 晩期 |
1 | 岩手 | 0 | 89 | 166 | 739 | 1,261 |
2 | 山梨 | 0 | 12 | 1,319 | 76 | 22 |
3 | 長野 | 1 | 1 | 812 | 256 | 96 |
4 | 茨城 | 12 | 1 | 10 | 636 | 160 |
5 | 千葉 | 24 | 2 | 15 | 393 | 359 |
6 | 青森 | 1 | 2 | 105 | 207 | 306 |
7 | 秋田 | 0 | 1 | 50 | 157 | 227 |
8 | 東京 | 0 | 2 | 246 | 60 | 71 |
9 | 北海道 | 0 | 2 | 39 | 48 | 193 |
10 | 福島 | 0 | 0 | 40 | 163 | 36 |
縄文土偶の出土数ナンバーワンは岩手県です。山梨県、長野県と続きます。
全国47都道府県の集計するとこのような結果です。
早期 | 前期 | 中期 | 後期 | 晩期 | |
全国 | 50 | 134 | 3,405 | 3,675 | 3,774 |
*国立歴史民俗博物館の「時期別土偶出土数データの集成(第一版)1992年」をもとに表を作成
47都道府県の地域・時期別の全国土偶集計データの詳細は下記からダウンロードできます。
<注>「不明」に関して特殊な計算方法で集計しているため、横罫は単純に加算合計ではありません。
全国土偶集計表 ダウンロードはこちらから
データから、前期は少数ですが広範囲に出土していることがわかります。
関東地方東部(茨城県花輪台貝塚11点、千葉県木ノ根遺跡11点など)と近畿地方周辺(大阪府神並遺跡2点、三重県大鼻遺跡1点など)が注目され、原田昌幸先生は、土偶の早期からの表現的要素である「豊満なトルソー」(肉体表現)と乳房の表現は両地域で確立したという土偶の多元的発生説を唱え、山田康弘先生も賛同されています。
早期土偶の多い茨城県と千葉県では中期~晩期に異なる展開です。
- 茨城県:中期(10)⇒後期(636)⇒晩期(160)※増えて減る
- 千葉県:中期(15)⇒後期(393)⇒晩期(359)※増えてほぼそのまま
また、島根県下山遺跡から東北地方発祥の屈折像土偶(後期中葉)が出土しています。
この2つの土偶を寄り添わせると・・・
↓ ↓ ↓
日本の土偶は海外に出張も!
縄文土偶は海外にも出張しています。
2009年9月10日から11月22日まで、イギリス大英博物館で『THE POWER OF DOGU』(文化庁海外展「土偶展」)が開催されました。(国宝3点、重要文化財23点を含め全67点)
縄文文化の奥深さや土偶造形の素晴らしさ、芸術性の高さなどを伝えました。
<大英博物館に出張した土偶>
青森:堀合遺跡(平川市教育委員会蔵) |
千葉:江原台遺跡(明治大学博物館蔵) |
秋田:伊勢堂岱遺跡(北秋田市教育委員会蔵) |
東京:多摩ニュータウンNo471遺跡(東京都埋蔵文化財センター蔵) |
そして、同年12月に土偶一族の帰国を記念して、東京国立博物館で「国宝 土偶展」が開催されました。
『国宝 土偶展』図録
展示の切り口は、①土偶のかたち、②土偶芸術のきわみ、③土偶の仲間たちでした。
他にも海外出張がありました。
- 1998年:フランス パリ 日本文化会館「縄文展」
- 2018年:フランス パリ 日本文化会館「縄文-日本における美の誕生展」
次回は、時期ごとにさらに細かく見ていきます。
「土偶に興味があるけど、どんな本を読んだらいいの?」という方は、縄文ライブラリーを参考にしてくださいね。
写真掲載*Special Thanks
第2話で写真掲載をお許しいただいた皆様です。ありがとうございます。
- 井戸尻考古館(長野県富士見町)
- 平川市教育委員会(青森県平川市)
- 明治大学博物館(東京都千代田区)
- 北秋田市教育委員会(秋田県北秋田市)
- 東京都埋蔵文化財センター(東京都多摩市)
- 島根県教育庁埋蔵文化財調査センター(島根県松江市)
- 福島市教育委員会(福島県福島市)