こんにちは!yurinです。
令和元年10月の古代史日和は、古代史学者の安本美典先生による特別講演でした。
タイトルは、『日本書紀』神武天皇東征伝承6つの謎。
このブログでは
のつづきで、第5の謎の「神武天皇の活躍年代」についてお伝えしていきますね。
- 第1の謎:暦の逆転現象
- 第2の謎:古代の天皇お年(寿命・享年)はなぜ長いのか
- 第3の謎:神武天皇はなぜ西暦紀元前660年に即位したことに定められたのか
- 第4の謎:神武天皇は実在したのか
- 第5の謎:神武天皇は実在したとすればいつごろの人か
- 第6の謎:神武天皇はなぜ東征したのか
神武天皇は西暦何年の人?
神武天皇が実在したとすれば、果たして西暦何年頃になるのでしょうか?
神武天皇の実在を認める人でも卑弥呼の時代の前と後の両方が論じられます。
これについて安本先生は統計学的年代論により、スバリ「280~290年」と述べられました。
西暦年代に換算して、確実に在位年数が判明している99天皇、のべ1454年の間の平均在位年数を計算します。
それによると、17世紀~20世紀の17代の天皇の即位期間は379年、1代平均在位年数は22.29年になります。
特別講演の資料より
13~16世紀の29天皇の即位期間は453年 ⇒ 1代平均15.63年
9~12世紀の33天皇の即位期間は404年 ⇒ 1代平均12.24年
5~8世紀の20天皇の即位期間は218年 ⇒ 1代平均10.88年
以上のように政権が安定してきた奈良時代(710~794年)の頃の天皇でさえ、在位年数は10年ほどというのが実情です。
これを時代ごとに、新しい順に見てみますと以下のようになります。
徳川時代および現代 | 18代 | 22.28年 |
鎌倉・室町・安土桃山時代 | 25代 | 16.13年 |
平安時代 | 32代 | 12.69年 |
奈良時代 | 7代 | 10.43年 |
飛鳥時代 | 13代 | 10.20年 |
古代へと時代が遡るにつれて、天皇の平均在位年数は短くなっています。
……ところがところが『日本書紀』の年代では、
第1代神武天皇から第29代欽明天皇 ⇒29代 39.24年
天皇の平均在位年数が約40年というのは、全く不自然です。(大汗)
いかに『日本書紀』が年代を引き延ばしてしまったのか理解できます。
……ですが年代の信頼性と、人物や事件の信頼性は分けて考えるべきものです。
私たちの記憶の中でも「できごと」はよく覚えていても「それが何年何月だった?」はあやふやであるのと似ています^^
そこのところを安本先生の統計学的年代論によって修正し、『日本書紀』のできごとを読みとるべきなのでしょう。
決して年代が信じられないから、神武天皇は存在しなかった、などというのでなく。
つづく