特別展「縄文ー1万年の美の鼓動」のブログのつづきです。
縄文土偶を代表する縄文のヴィーナス2点(長野県茅野市出土)は、残念ながら7月の終わりから展示される予定でした。
縄文のヴィーナス
茅野市 尖石縄文考古館にて
今までに見たことありましたが、国立博物館の数々の名品の中で、どのようにアピールしてくるのか、もう一度足を運ぼうと思っています。
国宝の合掌土偶
青森県八戸市風張(かざはり)Ⅰ遺跡出土の「合掌土偶」は国宝です。
出産土偶ともいわれる土偶(前2,000~1,000年)です。
膝を立てて座ったスタイルで合掌する土偶があります。
縄文人にとって、妊娠~出産~子供の成長は、本当に困難で、ですから渾身のおもいで祈ったものと胸に迫ってきます。
自然と共生したライフスタイルの中で、人間の「ささやかなのぞみ」や「幸せの尺度」を考えさせられるのです。
この土偶の口のまわりにはヒゲらしきものが生えていることから、男性説もあります。
ですが「男女を越えた精霊に込めた必死の祈りを象徴」したものというとらえ方もなされます。
縄文のヴィーナスは、300年にわたり、世代を超えて大切にされてきたことがうかがえるそうです。
仏教の偶像崇拝の思想は、すでに縄文時代の日本にもあったようです。
石川県能都町の真脇遺跡のイルカ供養塔もありました。
真脇遺跡
真脇町のイルカ漁は近年まで続けられていたようです。
類類と積み重ねられた大量のイルカの骨の上に、円柱は建てられていたといいます。
彫刻は「月」がほどこされているのではないかと。
イルカの死後の世界での平穏を祈念したのでしょうか。
イルカを食しながら、その恵みに感謝する縄文人が、心の琴線に触れてきます。
紀伊半島にも、鯨の供養塔や戒名まであるようです。
村の集会場に集まり、ヴィーナスの前に頭を下げて手を合わせて祈りを捧げる縄文人の姿がうかんできます。
その祈りの真摯な敬虔な思いの深さに打たれるのは、あまりに欲望をおさえきれない現代の我が身を自省するからでしょうか。