宗像・沖ノ島世界遺産で今知っておきたいこと【1】宗像三女神

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こんにちは、yurin(ユーリン)です。

宗像・沖ノ島が世界遺産に登録されましたね。

感無量でした(涙)……

今回の世界遺産の登録と、宗像・沖ノ島の歴史に触れて
日本人として、今、知っておきたいことをお話します^^

1.「神宿る島」沖ノ島

沖ノ島周辺のみでなく、九州本土側の宗像大社辺津宮や古墳群、
中継点の大島を含む、申請通りの一括登録が認められて、まさに満願成就。

沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)に田心姫神(たごりひめのかみ)

大島の中津宮(なかつぐう)に湍津姫命(たぎつひめのみかみ)

本土の辺津宮(へつぐう)に市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)

宗像三女神です。

この三宮を総称して宗像大社といい、連綿と祭祀が施行されてきました。

宗像大社

玄界灘を航海して、大陸へ渡るのは非常に危険で困難なことでした。

古代の人たちは、本土の宗像市神ノ湊(こうのみなと)から60キロ、
朝鮮半島への中継点にある玄界灘の孤島の沖ノ島を、
航海の守護神として大切にお祭りしたのです。

『日本書紀』によれば、天照大神(あまてらすおおみかみ)が、

海北道中(きたのうみのなかみち)をお祭りして、子孫をお助けするように

との、お言葉があったと記します。

三女神はともに、天照大神の御子とされます。

古代の海人(あま)族たちの自然信仰に重ねて、
三柱(みはしら)の女神に祭祀を託したのです。

たくさんの生き物を育む、母なる海を守るには、女神がふさわしかったのでしょう。

神々が降臨する巨岩の磐座(いわくら)、
そして神籬(ひもろぎ)といわれる神々が降臨する樹木が、
太古の自然信仰のまま、手つかずに保存されている、

まさに沖ノ島は「神宿る島」です。

2.海の正倉院と高宮斎場(たかみやさいじょう)

沖ノ島には、大和朝廷による数々のとても大切な宝が捧げられ、
その国宝の数は8万点におよび、海の正倉院とよばれます。

沖ノ島に渡るためには、本土の辺津宮で潔斎してお祈りし、
さらに沖ノ島への中継点の大島でもまた、沖ノ島を遥拝し(はるかに臨んで祈願する)、
重ねて航海の安全を祈ったのです。

3つの島、3つのお社(やしろ)、三柱(みはしら)の女神さまは、
「ともに力を合わせて」玄界灘を航海する船と、乗組員をお守りしてきたのです。

辺津宮の「高宮斎場(たかみやさいじょう)」は、宗像三女神降臨の地とされる、
神籬(ひもろぎ)です。

高宮斎場

神社の社殿が建てられる以前の時代の、古代祭祀の面影を伝える、
最も神聖な場所とされます。

一般的に、神社の神籬(ひもろぎ)=神々が降臨する祭場には、
楠や杉など、周囲を威圧するような巨木がそそりたっている光景が多いのです。

ですが、ここでは降臨されるのが女神さまとあってか、
細く繊細な樹木群によって構成されていて、

風にそよぐ木々のざわめきとともに、しなやかに降臨する女神さまのお姿が、
浮かんでくる気がいたしました……

天照大神が宮中から真っ先に外へ出たときにお祭りしたという、
三輪山麓にある、檜原神社の神籬(ひもろぎ)を思い出しました。

三輪山麓の檜原神社

辺津宮の高宮斎場

辺津宮は、はるか遠方の中津宮と沖津宮の神霊をうつした、
第二宮(湍津姫神)・第三宮(田心姫神)があります。

第二宮(湍津姫神)・第三宮(田心姫神)

田心姫を祭る第三宮

伊勢神宮の別宮の伊佐奈岐宮(いさなぎぐう)・伊佐奈弥(いさなみぐう)の
お社(やしろ)が下賜されうつしたもので、伊勢神宮と格別な関係にあります。

こちらを参拝すれば、全てを参拝したことになるという、
総社としてのお社(やしろ)でもあるのです。

その祭祀を連綿と司(つかさど)り、継承してきたのが、宗像氏(むなかたし)です。

その一族の古墳群も、世界遺産に登録されました。

第40代天武天皇の第一皇子の高市皇子(たけちのみこ)の母は、宗像氏です。

長子として、終生にわたり、天武・持統天皇の時代を支えました。

3.海洋信仰の文化の継承に誇り

5月のユネスコの諮問機関会議では、沖ノ島と周辺の岩礁のみの登録で、
本土側の宗像大社や古墳群は、除外するように勧告してきたのです(泣)

……ですが、7月9日のユネスコ世界委員会では、それを一挙にくつがえし、
ほとんどの委員国代表が「8つで一つの文化や信仰を示す」
という日本側の主張に理解を示しました。

太古の自然崇拝と考古学遺物が一体となった、海洋信仰の文化の継承が
世界に認められたのです。

すばらしいことですね。

海洋民族として、海や自然を大切に守り続けてきた先祖を、
日本人として誇らしく思います(感涙)

有形無形の財産を、堂々と世界に語り、これからも守っていきたいものです。

宗像・沖ノ島世界遺産で今知っておきたいこと【2】につづく

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