越の国の旅【4】アマノウズメがたすきにかけた植物

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越の国の旅「県内最大規模の古墳群」と「東日本最大級の遺跡」のつづきです。

斐太遺跡の珍しい苔

弥生終末期の東日本最大級の高地性環濠集落「斐太遺跡」でのこと。

「この苔は珍しい」と日本画家の日香浬先生が発見!

確かに周囲に青々とした苔が目立ちます。

その中に杉苔と違う、希少な筆苔とのこと。

ビロードのようにつややかで美しく明るい緑です。

私「関東ローム層では、苔は育たなくて、それで残念ながら京都のような庭園は、関東圏では不可能なんです。」

日香浬先生「松も見事なのあるわ。庭に持っていきたいくらい(微笑)」

京都の寺院の庭園のように、さらに広々として美しい風情で、自然にできた庭園です。

この付近は水が豊かそうです。

青々とした苔は豊かな水分を含む豊潤な土壌の証(あかし)。

「遺跡と集落は、まず“水”だな」

とは、土田先生の確固たる御説です。

 

実は30年前に、土田先生の御著作に感動しましたのも、ヒスイ製作とともにある清らかな水、豊かな水のある縄文遺跡へのご洞察が大きかったのです。

先生の御文章から、神話で「天照大神が八尺瓊勾玉(やさかにのまがた)を、天の真名井で振り灌ぐ」という描写が蘇生したのでした!

……その本で読んで感銘したお言葉を、今ここで実際にご本人からお伺いできるなど、夢のようです……

「ヒカゲノカズラがあった!」と、またまた日香浬先生が、発見。

何度も来ているそうですが、ヒカゲノカズラは珍しいようです。

アマノウズメがたすきにかけるヒカゲノカズラとは?

『古事記』の神話の「天の岩戸」のところで、

天宇受売命(あまのうずめのみこと)(が)、天の香山(かぐやま)の天の日影(ひかげ=ヒカゲノカズラ)をたすきにかけて……神がかりして……

とあります。

このヒカゲノカズラについて、辞書で引いて写真で確認して、わかったようでわからないままに過ごしていました(大汗)

そして日香浬先生の御作品の奴奈川姫の髪飾りを拝見して、初めて具体的にご教示を得ることができたのです。

「鈴鏡」川崎日香理氏

 

奈良市の率川神社の巫女たちが、ヒカゲノカズラを頭に巻いて神事をしている写真もいただいて感動しました!

始めは無味乾燥に思えた神話の一文が、深く大切なものに認識されたのです。

それは土田先生のご著作から、神話の八尺瓊(やさかに)の勾玉が、霧の中から現れ出た感動と同じものでした。

……そのヒカゲノカズラを、こうしてまたとないような旅の最中に偶然にも目にすることができて、これほど有難いことはなかったです!

 

お刺身のツマにもなっている、と伺い、もしかしたらおせち料理の飾りで見たものかしらと思ったり……?

明るいグリーンの色合いで優しい感触です。

短い苔の一種のように見えるのですが、少しずつ引き抜くと、その茎はどこまでも長く続いています!

真っ白の雪に埋もれたその中から、青々としたの長い茎の植物が現れたとしたら、さぞや驚かされるでしょう。

いにしえの人たちが、その生命力と美しさに打たれて、身に着けて神事に愛用したのも、さもありなん、と思える植物でした(拍手)

つづく

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