宗像・沖ノ島世界遺産で今知っておきたいこと【3】三女神への思いを托して

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「宗像・沖ノ島」世界遺産登録で今知っておきたいこと【2】のつづきです。

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7.『魏志倭人伝』ルートとは別ルート

沖ノ島祭祀を知ったのは、千葉県佐倉の歴史民俗学博物館が開館して、
入り口を入ってすぐの第一展示室での、沖ノ島の祭祀遺跡によってでした。

当時、一番関心があったのは「邪馬台国」でしたから、
それと全く趣きのちがうフォトは、衝撃でした!

社殿をおしつぶすかのような巨岩の磐座(いわくら)が……
いったい、これは何かしら?

博多~壱岐~対馬を経て、朝鮮半島へいたる『魏志倭人伝』ルートがあるのに、
どうして神ノ湊(こうのみなと)があり、危険をおかしての別ルートがあるのか?

神ノ湊

神功皇后も、元寇が押し寄せた時も、豊臣秀吉も『魏志倭人伝』ルートですし、
第一に、博多の那の津こそが、北部九州の一番の港であり続けてきたはずなのに……???

『魏志倭人伝』、『古事記』『日本書紀』、沖ノ島の考古学と信仰……

それらをどのように整合させて説明するのか?
それが長年の古代史の大きな課題だったのでした。

そうした中で、森浩一先生の『日本神話の考古学』『記紀の考古学』『列島の地域文化』が、
次々に刊行されて、道筋に差し込む光が見えてきたのです。

8.謎に満ちている宗像三女神

日本神話の中でも、宗像三女神は、謎に満ちています。

そのうちの田心姫(たごりひめ)さまについて、
「大国主命(おおくにぬしのみこと)の妻たちのサミット」で、
お話しすることになりました。

「大国主命の妻たちのサミット」ポスター

※2016年3月20日に開催されました

古典や古代史に精通して、数々の作品を提出してきた、
漫画家の里中満智子先生を中心に、

大国主命の妻となった因幡の八上姫(やがみひめ)、
越(こし)の奴奈川姫(ぬなかわひめ)、筑紫の田心姫を語る、
女性講師陣が集まって、シンポジウムが行われました。

『古事記』で田心姫は、多紀理毘売(たぎりひめ)と書かれて、
大国主命の妻の一人です。

彼女については、その系譜が書かれているだけで、
それ以外はいっさい不明なのですが、
実は彼女の御子神(みこがみ)については、詳細に記されています。

味耜高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)と、下照姫(したてるひめ)です。

二柱(にはしら)の神は、大国主命の子、としてアピールされていますが、
母は田心姫なのです!

味耜高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)は、『古事記』に
「かも(賀茂)の大御神(おおみかみ)」とあります。

日本の千年の王城、京都の守護神となった、上賀茂・下鴨神社と関係があるようです。

それを突破口にして、岐阜県や福岡県の神話伝承地をヒントに、
田心姫さまの人(神)生に思いを馳せたのです。

「里中先生が見守ってくださいますし、思いっきり姫神さまたちに、感情移入してください」
とシンポジウム主催者の方にご提案いただきました。

敬愛する里中先生の、作品の登場人物たちのように
深い心情を推し量って田心姫を語る、という願ってもない楽しさもわいてきます。

「孤島の女神に8万点の国宝を捧ぐ~天照大神の御子神の苦難の道~」と題して、
愛すべき田心姫さまに思いをたくし、心ゆくままにお話しさせていただけました(微笑)

休憩時間に、思いがけず声をかけて下さった方のことは、前に記した通りです。

『古事記』の神話の女神さまに興味を持ち、
共感していただけたことが、本当にうれしかったです(微笑)

おりしも今年の7月には『季刊邪馬台国』132号で、「宗像と古代日本」が刊行されて、
シンポジウムのことを取り入れた一文が掲載されました。

9.女神のお力添えをいただいて

……このような長年のいきさつがあったので、
今回の宗像・沖ノ島世界遺産登録は、私には喜びや感慨がいくつも重なるものになりました。

女神さまのお力添えの賜物なのだと思っています。

宗像大社、考古学の先生方、地元や政府関係者の方々まで、
一丸となっての結晶なのだと、有難く感謝申し上げます。

このところの忙しさに紛れて、しばらくご無沙汰していた歴博へも足を運んで、
再び、宗像・沖ノ島に思いを馳せてこようと思います。

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