こんにちは!yurinです。
新春早々、新潟県妙高市のアライリゾートで、『古事記』神話にちなむ川崎日香浬氏の日本画の個展が開催されました。
アライリゾート
日本文化に関心をもつインバウンド(訪日外国人観光客)が熱心に見入り、心温まるお茶のおもてなしにも感動していらっしゃいます。
「ヌナカワヒメ」
「ジェイド マガタマ」
との言葉が飛び交い、「うちの国の昔話にも似ている。帰国して子供たちに語りたい」と笑顔で絵本を手にしていらっしゃるようです。
目次
ふぶきの日のスノーリゾートへ
早朝、晴天の首都圏から、上信越自動車道を北へ向かうと、関東平野の北部からは真白に雪を抱いた浅間山がよく見えました。
関東平野(富岡市)から浅間山
群馬・長野県県境の碓氷峠を越えて佐久平へ入っても晴天は続きます。
佐久平から八ヶ岳方面
浅間山麓には、積雪なしです。
佐久平から浅間山
さらに千曲川にそって北上すると、前方に山々に雪雲がかかっていて、いつしか曇り空。
そして長野・新潟県の県境付近にさしかかると、えっ!と驚くほど天候は急変!
「豊田飯山~妙高高原は冬用タイヤ規制」と予告掲示がありましたが……
雪が降り始めたかと思うと、あっという間に視界が狭まり、高速道路とはいえ、完全に除雪が行き届かず徐行運転。夫は雪道に慣れている方ですが、あまりの急変ぶりは想定外!
しかもなんと!ラスト直前の妙高ICと中郷(なかごう)ICの間が事故で通行止め(>_<)
目的地まであと一歩というところで、高速道路から降りて国道を走りました。
長野から続いている国道18号の延長なので、少し安心しました。
高速道路を走行してスキー場を目指すと、途中で閉鎖されてしまうことも何度かあったので、
「あの時よりはましよね、目的地のすぐそこまで来ているし」
など、以前の雪道の走行の思い出を夫と語りながら、心を鎮めました。
国道から脇道へ入る頃には、いっそう雪は激しくなるばかりです。
スノーリゾートへ、スキー目的でなく向かうなども初めてで……^^
雪の中の奴奈川姫(ぬなかわひめ)を見たい、というその気持ちだけ来てしまいました。
不思議パワーに引き寄せられて、スノーリゾートの日本画の個展会場へ向かったのです。
天津神社での交流
ひと月前の12月はじめにも、戸隠神社の関係者の方からお声をかけていただき、天津神社に奉納された日本画をご一緒に拝見すべく、糸魚川へ向かいました。
10月末に天津神社への奉納絵画を拝見して感動してから、こんなにすぐにも機会が訪れるとは思っていませんでした。
清らかな泉でのどを潤したくなるかのように、日香浬先生の作品を拝見して心を潤したい気持ちは高まります。
日香浬先生、土田先生との再会も楽しみで、不思議なパワーにも引き寄せられます。
雨上がりの妙高高原を通過すると、大きな虹がかかっていました。
同じ時刻に国道を走っていた日香浬先生は、上越市から糸魚川へ向かう車中で、日本海にかかる虹を見たそうです。
その虹を見ただけで、年末のあわただしい時期でしたが、はるばる来てよかったと思いました。
きっといいことがおこりそうな予感で胸が高鳴りました。
天津神社では奉納された御作品を拝見しながら、日香浬先生・土田先生が解説してくださいました。
鉱物を砕いての顔料
研修旅行中の戸隠神社の関係者の方々とともに心温まる時間を過ごしました……
高天の原随一の知恵の神の思兼神(おおもいかねのかみ)をお祭りする戸隠神社の方々が、奉納日本画を熱心に見入っていらっしゃる様子から、祭神の神さまが偲ばれてきます^^
一昨年に出雲大社に奉納された「神在月(かみありづき) 高志(こし)から出雲へ」の御作品は、出雲大社の新しく広々とした祈祷待合室に納まったそうです。
日香浬先生の作品を拝見しようと、天津神社・出雲大社・諏訪大社を参拝される方も増えるでしょう。
上越市の高田城下の陀羅尼(だらに)八幡神社にもステキな作品あります^^
何度も足を運ぶのは難しいですが、それぞれの神社にあの作品が納まっていると思うだけで、心は沸き立ちます。
新春のふぶきの日にスペシャルプレゼント
そのひと月後、再び雪の中の奴奈川姫(ぬなかわひめ)が見たくて、妙高高原まで来てしまいました。
視界が狭い雪道で、初めて訪れるスキー場ですし、ナビだけが頼りです。
……ですが肝心のラストのところで、ナビも役にたちません。
広大なスノーリゾートのようで、真っ白な雪の中で、いったいどこへ行けばいいのかしら?
こういう時のスマホは実にありがたく、フロントに電話してみると、快くナビをしていただけました。
……ようやくホテル内の屋根付きの駐車場に辿り着き、本当にホッとしました。
このリゾートの80~90パーセントは海外からのビジターだそうです。
極上のパウダースノーで知られて、苗場や奥志賀などともちがう、高級海外リゾート感覚の施設です。
そのコンセプトがけた外れに大きくインバウンドを意識した作りのせいか、経営者は海外の人にかわって運営されているそうです。
個展会場は、諏訪出身の建築家、藤森照信氏設計の空間です。
あの守矢資料館を設計された方です。
それも伺っていましたので、いっそう心惹かれてしまいました!
館内のラグジュアリーなライブラリーは、日本文化に関する書物が目立ちます。
当初スノーリゾートの個展とは意外でしたが、日香浬先生に白羽の矢が立ったわけも見えてきました。
心地よく装飾された長い廊下を過ぎ、階段を下った地下に会場はありました。
雪を見立てた真っ白な空間に、長い竹で組んだドームが絶妙な雰囲気を醸します。
ふんわりと包み込む“かまくら”の中に、金の屏風に朱色の袴(はかま)をまとった奴奈川姫(ぬなかわひめ)がキラリと際立つ、すばらしい空間を織り成していました!
ご祖父さまから受け継いだというお道具での立例式(りゅうれいしき)のお点前(てまえ)です。
海外の方向けに考え出された、椅子に腰かけて行う茶道のお点前の形式です。
実にお一人で手際よくお手ずからのお茶をたててくださいました。
きめの細かなお茶でした。
掛け軸には上杉謙信公の印鑑がありました。
海外の方々にこれほどすばらしいおもてなしの空間はないでしょう!
日本人として、実に誇らしく、日香浬先生にいくら感謝してもし尽くせない思いでした。
東京でこうした空間を用意したら、どれほどの人々が訪れることでしょうか。
……ふぶきの日に訪問客は少なく、ゆったり語り合うことができました。
「とても好評なので、『お諏訪さま物語』を英訳しているんです^^」
と、日香浬先生。
「なんと!!すばらしい\(^o^)/」
この雪国から奴奈川姫(ぬなかわひめ)とお諏訪さまは、確実に世界へはばたいていくようです。
この上なくうれしく思いました(大拍手)
首都圏からふぶきを乗り越えて、はるばるたどり着いた者だけにプレゼントされた、つかの間の物語の世界のような気がしてきます。
このようなひとときが過ごせるなど実に有難く、1年の始まりの幸せを感じました。
ひとしきり時間もたって、さて無事に雪国を抜け出すことができるかしら?と、現実に戻ると不安にもなってきます。
ですがホテルの外へ出ると、思いがけず雪はすっかり止んでいて、薄雲の向こうに陽ざしがさしていました。