大伴氏の栄光と苦難の歴史が結集した『万葉集』

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こんにちは!yurinです。

時代は平成から令和へ。新元号「令和」の出典となった『万葉集』の梅花の宴を催した大伴旅人(おおとものたびと)。

その大伴旅人の子が『万葉集』を編纂した大伴家持(おおとものやかもち)です。

大伴氏は天孫降臨した瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を先導したことから始まる武門を誇る名家です。

天孫降臨するニニギノミコト(国見が丘)

それだけでなくその後も神武天皇の東遷を文武両道で補佐し、日本武尊の東征にも従軍しました。

日本列島の広域に渡って足を運んだ大伴家の先祖たちの栄光と苦難の歴史こそが日本最古の歌集『万葉集』に結晶されたのではないでしょうか。

天孫降臨、神武東征にも従軍した大伴氏の先祖

 大伴家持(718~785)は『万葉集』の編纂者とされ、現代人に通じる繊細でロマンあふれる歌を残しています。

春の苑(その) 紅(くれない)におう桃の花 下照る道に 出で立つ少女(おとめ)

『万葉集』巻19 4139

(春の庭に、あかあかと美しく輝いて桃の花が咲いています。木の下まで紅色に染まりそうなほどです。そこにたたずんでいる乙女の姿が、なんとふさわしいことでしょうか)

一方で大伴氏は、天皇家を側近として近衛兵の役割を持って守護してきた、由緒ある武門の名家でした。

その家柄を誇りにして、家長として一族を統率していたのが大伴旅人(665~731)であり、子の家持です。

旅人は隼人平定の将軍・大宰府の長官、家持は越中・因幡・薩摩の国守や陸奥鎮守府将軍などの役職を経験し、親子ともども日本列島の広域に渡って足跡を残しています。

 

「旅人」⇔「家持」親子のそれぞれの名前は、都と地方を頻繁に往復した将軍や国守という役職を象徴して考え出されたものかもしれません。

旅を重ねる人生であっても、家をしっかりと守るという意識でしょうか……?

奈良時代の政権暗闘の中で大伴氏一族を鼓舞する歌

奈良時代になり史書の記述が詳細になると、天皇家をめぐり藤原氏と各氏族の確執が見えてきます。

名門大伴家も政争に巻き込まれて苦難の道筋を歩むことになってしまいます。

藤原仲麻呂(706~764)の讒言により一族の者が処罰されるというピンチに、大伴氏の天孫降臨以来の栄光の歴史を詠み、内外に知らしめたのでした。

 

族(うがら=一族)を諭す歌 (『万葉集』巻20 4465)

ひさかたの 天の戸開き 高千穂の 岳(たけ)に天降(あも)りし 皇祖(すめろき)の 神の御代より 梔弓(はじゆみ)を 手握(たにぎ)り持たし真鹿児矢(まかこや)を 手挟(たばさ)み添えて……国覔(くにま)ぎしつつ ちはやぶる 神を言向(ことむ)け まつろはぬ 人をも和(やわ)し 掃(は)き清め仕え奉りて 

(わが大伴氏は、天の岩戸を開いて高千穂の峰に天下られた皇祖の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の御代から、ハジの木の弓を手に握り持ち、鹿を射るための矢を手の脇に挟み持ち……国を求めて荒ぶる神々を平定し、従わない人々も静めて掃き清めてお仕えしてきた。)

 

秋津島 大和の国の橿原の畝傍(うねび)の宮に 宮柱 太知(ふとし)り立てて 天の下 知らしめしける……君の御代御代(みよみよ)……子孫(うみのこ)の いや継ぎ継ぎに

(神武天皇が大和の国の橿原の畝傍(うねび)の宮に宮柱を立派に立てて、この天下をお治めになった……代々の天皇の御代御代……「大伴」の子孫を次々に見る人が語り継ぎ、聞く人は手本にしてきたのだ。)

 

見る人の語り継ぎてて 聞く人の 鑑(かがみ)にせんを あたらしき清きその名ぞ おぼろかみ 心思いて 空言(むなこと)も 祖(おや)の名断つな 大伴の 氏と名に負える ますらおの伴

(もったいないほどの清い名であるから、おろそかにしてかりそめにも先祖の名を絶ってはならない。この「大伴」の氏と名を負っている丈夫(ますらお)たちよ)

 

高千穂の峰

磯城島(しきしま)の 大和の国に 明らけき名に負う伴(とも)の緒(お) 心つとめよ

(大和の国に輝かしい家名を持つ一族の者よ、ますます一生懸命につとめに励みなさい)

 

剣太刀(つるぎたち) いよよ磨(と)ぐべし いにしえゆ 清けく負いて 来にしその名ぞ

(剣や太刀の手入れを怠らずいっそう磨くべきである。昔から清らかに受け継いできたこの大伴の名を胸に刻んで)

 

藤原氏の勢力に押されて、古来の名門の大伴氏も危うくなってきた時、天孫降臨を先導し、神武天皇に従軍した先祖の栄光の歴史を歌い、一族を鼓舞激励したのでした。

天孫降臨

長野県安曇野市 穂高神社

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