【第2の謎】古代の天皇のお年(寿命、享年)はなぜ長いのか

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こんにちは!yurinです。

令和元年10月の古代史日和は、古代史学者の安本美典先生による特別講演でした。

タイトルは、『日本書紀』神武天皇東征伝承6つの謎。

第1の謎はこちらから。

 

このブログでは第2の謎の「古代の天皇お年」ついてお伝えしていきますね。

  • 第1の謎:暦の逆転現象
  • 第2の謎:古代の天皇お年(寿命・享年)はなぜ長いのか
  • 第3の謎:神武天皇はなぜ西暦紀元前660年に即位したことに定められたのか
  • 第4の謎:神武天皇は実在したのか
  • 第5の謎:神武天皇は実在したとすればいつごろの人か
  • 第6の謎:神武天皇はなぜ東征したのか

長寿はどう考えればいい?

神武天皇の実在を疑う理由の一つとして、天皇の寿命がとても長いことです。

100歳以上の天皇がしばしばおられて、科学の進歩した現代人の現実からは受け入れ難いのです。

これについて安本先生は、『古事記』『日本書紀』の天皇のお年をすべて取り上げて考察されました。

すると『古事記』『日本書紀』ともに第20代安康天皇までは、どちらも長寿です。


特別講演の資料より

神武天皇は『古事記』で137歳、『日本書紀』で127歳。

第15代応神天皇は『古事記』で130歳、『日本書紀』で110歳です(大汗)

…ところが、第20代雄略天皇の時代以降から、ある事実がよみとれます。

それは『古事記』の天皇のお年は、『日本書紀』の天皇のお年の約2倍(あるいは2分の1)になっています。

 

『古事記』で第20代雄略天皇は124歳、『日本書紀』で62歳。

第26代継体天皇は『古事記』で43歳、『日本書記』で82歳です。

こうしたことから古代における「1年2歳論」が唱えられました。

日本の古代は1年で2歳?

デンマーク人で来日していたウィリアム・プランセンは1880年に「日本年代表」を表わしました。その中で

  • 神武天皇から第16代仁徳天皇までの17代の天皇の寿命は著しく長く、平均寿命は109歳
  • 第17代履中天皇以後は、にわかに寿命が短くなり、普通人と同じ
  • 履中天皇以後17代の天皇の平均寿命は61歳

以上のことは、はじめの17代の天皇の時代は、後世に普通に用いられたものとは異なる暦が用いられていたためであろう。

すなわち冬至と夏至の間、春分秋分をもって1年と数える暦によったのではないか。

 

すなわち古代中国の殷(古代中国の王朝、B.C.17C~B.C.11C)の時代の麦と米の収穫の時期に合わせた暦です。

 

日本の古代において現代の1年が2年にあたる時代があっとたみられるのです。

天皇の寿命がひたすら長いものでもないので、このような説明もできるわけです。

つづく

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