黒曜石原産地と採掘現場のツアーに参加して

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こんにちは!yurinです。

この秋は、長野県に滞在して、長野県立博物館の「最古の信州ブランド黒曜石」の講演会、シンポジウム、バスツアーに参加してきました。

このブログではバスツアーについてお伝えしていきますね。

黒曜石産出地の星糞峠の採掘遺跡の意味は?

いよいよ長野県立歴史館の考古学講座の一環として、黒曜石原産地と採掘現場のツアーの始まりです。

黒曜石産出地の星糞峠に近くに有名な鷹山(たかやま)遺跡があります。

黒曜石産出地の「鷹山」は、たかやまと呼ばれ、鷹の生息する深い山のイメージですが、むしろ大和の香具山は、『万葉集』に「高山」とも書かれます。

 

鷹山(たかやま)もどこか奥ゆかしい地名です。

戦後は、ペンション村やスキー場の方で知られています。ここから国道を少しのぼると、ヴィーナスラインの中心、白樺湖にでます。

 

なんといっても蓼科山の眺望が神々しいです。

古代の集落に必須な湧き水の流れも豊かです。

 

「黒曜石体験ミュージアウム」前の広場で、小型バスに乗り換えます。

クマザサと白樺やダケカンバの生い茂る明るい林を抜けて、峠にむかいます。

国有林なので、門が備え付けられています。

 

この門を抜けて、徒歩で現場に向かう人も、しばしばいるそうです。黒曜石採掘地の見学ツアーは、何度かおこなわれたそうで、「こういう機会は、何度でも参加する」とおしゃっている方もいらっしゃいました。

バスを降り、ラストはゆるやかな林の道を登ります。

風景だけみていても、美しくなごまされる光景です。

林の中を見渡すと、確かに窪地があります。

「この窪地が、黒曜石の採掘跡です」とのことです。

黒曜石体験ミュージアムで知る縄文人の共同体

黒曜石体験ミュージアムの館長をされている大竹先生が、力強くわかりやすい説明をしてくださいました。

「“君は見てきたように、古代の話しをするね”などいわれるのですが、縄文人が掘った通りのことを申し上げています^^」

大竹先生は、力強く、実証的なお話しの中に、ロマンが溢れていて、ステキな女性として引き込まれてしまいました。

黒曜石体験ミュージアムと星糞峠

ミュージアム内の黒曜石採掘図

地表に露出している黒曜石では、飽き足らず、さらに上質な黒曜石を求めて、縄文人たちは、採掘活動まではじめたのでした。

なんと!56メートルの深さに及ぶとか。

巨大に採掘された現場には、鉄線が張り巡らされて、ロマンというよりは少しでも正確に後世に伝えようとする「心と科学」を感じました。

地下5メートルに学芸員の方が入り込み、縄文人になって!採掘活動を再現してくださいました

湧き出る水による土砂の流出をおさえるために、丸木を渡しています。

……はるばるこの地をおとずれて採掘活動を行った縄文人は、季節労働として、一定期間に訪れたのだろうとみられています。

 

地下からは土器も発掘されました。

トッピング博士の講演では、採掘活動に携わった人々には安全祈願の「祭祀」なども行ったであろう、とのご指摘がありました。

そうした祈願をこめた土器かもしれない、という見解も出されたのでした。

 

「河川や地表の採集」だけでなく、「困難な採掘活動」までが行われたのは、星糞峠ばかりでなく、山の向こうの諏訪方面の鷲ヶ峰でも同様だったようです。

いったいだれに頼まれて?、縄文人は、この地で、困難な黒曜石の採掘活動をしたのでしょうか?

八ヶ岳周辺の拠点集落でも、名うての熟練者としてだった選ばれたものっだのでしょうか?

 

この地から採掘された黒曜石は、この場所である程度の大きさに分けられ、山麓の「集積場」に集められて、「優品」「良品」「並品」などに分け置かれて発見されているようです。

集落ごとの特性があって、八ヶ岳から離れる遺跡には、「並品」などが集められた遺跡もあるのでした。

縄文晩期には山梨県北杜市の金生遺跡に優品の黒曜石

寒冷化に襲われた縄文時代の晩期になると、八ヶ岳山麓の黒曜石集積場は姿を消し、お隣の山梨県北杜市の金生遺跡に「優品」の黒曜石が、集積されるようになったそうです。

黒曜石が流通する「社会」には、すでに村落共同体が形成され、分業体制が築かれていたようにみられるのです。

 

大自然は神々しいほど美しく、その地での縄文人の活動にも引かれます。

何度でも訪れたくなる「星糞峠」と鷹山縄文遺跡でした。

星糞峠

はたして縄文時代のロマンと謎は、どこまで深まるのか?バスツアーにご同行されて、ご案内くださったのは、長野県立博物館の3名の先生方でした。

それぞれ専門分野をいかして、道すがらにある旧石器から古墳時代の長野県の歴史を伺います。

 

先ほどの大竹先生とご夫婦で、夫君の大竹先生のお話しも引き込まれました。

考古学者藤森英一氏や山内清男氏に導かれて、学生時代に考古学に魅かれて、黒曜石や土器の採集をなされたお話しも、楽しく微笑ましくうかがいました。

「最初の宿泊する場所にペンションなど利用したのですが、……私たちに気を遣って、夜にはお酒なんかだしてくれるもので……、こんないい生活してはいけない、とキャンプしはじめたんです。これは無駄な話しですけど……^^」

と、大竹先生からはいくつも「無駄な話しですけど」と楽しいお話しを聞かせていただけました。

自分の若い時代の夢まで蘇って、共感できることばかりでした。

今は、南の海を丸木舟で渡るプロジェクトにも参加しているそうです(大拍手)

各地の黒曜石を識別してステップアップ!

尖石縄文考古館にも立ち寄りました。

尖石遺跡

何度か訪れたことはありましたが、大竹先生のご教示で、新たな発見!考古館の前の広場に置かれた「黒曜石」がいくつかありました。

「これは冷山(つめたやま)の黒曜石だな。ピンクの模様がはいっている」

……なるほど、確かに、真っ黒な鷹山の黒曜石と比べると、ところどころに薄ピンクがかったベージュの点々があります。

そのご教示のおかげで、長野博物館に展示された各地の黒曜石の相違も肉眼で識別できてきて、ちょっとステップアップしたようでうれしくなりました^^

 

ひとえに黒曜石といっても、ずいぶん違いがあるのでした。

九州の姫島の黒曜石は、黒というより、グレーです。

何度もツアーに参加されて、県立博物館で考古学の勉強をされているという参加者のお一人の方が、最後に感想を語られました。

 

「“無駄な話しを”含めて、何もかも楽しく参考になりました」

 

先生方のもとには「1日、6000円以内でお願いしたい」という要望もあったそうです。

確かに、お金をかければなんでも見ることができる時代です。

一方でどんな庶民でも歴史を学ぶ機会が享受できるのは、実にすばらしいことだと思います。

 

このコストパフォーマンスは、信じられないほどの高さと思います。

何度でも訪れたくなる、長野県立博物館のツアーでした(拝)

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